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マネージャーとしての行政書士

一人で仕事を取ってきて一人で書類を書いて提出するなら売り上げは全て自分の収入になりますが、慣れによって仕事のスピードが上がっても限界はあります。行政書士の平均年収が600万円なら頑張れば1000万円は行くかも知れませんが、3000万円は無理そうです。
どんなに忙しくても裁判の時間に遅れると裁判官に叱られてしまう弁護士と違って、行政書士は他人に任せることが出来る部分が大きくなっています。年収3000万円になるにはマネージャーになる必要がありそうです。

従業員の年収

日本政策金融公庫が発表している業種別経営指標では従業者一人当たり人件費は338万7千円になっています。従業員はサラリーマンなので、人件費はサラリーマンの年収+企業の社会保険負担分ということになり、人件費=年収x1.15になります。
行政書士事務所の従業員は年収約295万円ということが分かります。サラリーマンの平均年収約400万に比べてかなり低い水準になっています。

他業種との比較

行政書士事務所の人件費は売上高の59.8%、諸経費は売上高の36.7%を占めています。他業種を見てみると、社労士事務所の人件費は売上高の69.1%で諸経費は売上高の29.4%、法律事務所の人件費は売上高の53.1%で諸経費は売上高の39.3%、公認会計士事務所・税理士事務所の人件費は売上高の65.5%で諸経費は売上高の29.0%になっています。
比較してみると、法律事務所・行政書士事務所は諸経費の割合が高いために人件費が抑制されていることが分かります。

マネージャーの役割

プレイヤーとして行政書士の仕事をする場合、景気のマイナス部分は営業で取り戻すしかありません。しかしマネージャーなら営業は営業が得意な人に任せることができます。しかし、景気が悪く営業の成績が良くなり難い状況で営業担当者に努力を強いるなら優秀なマネージャーとは言えません。マネージャーとしての行政書士は景気リスクをいかにして回避するかを研究する職ということになりそうです。

他業種との比較で行政書士事務所は諸経費の割合が高いことが分かりました。景気の悪化で賃金の水準があまり変化しないなら、扱う仕事を法律事務所寄りから社労士・会計士・税理士寄りに変更することが出来れば、諸経費が自然に削減されるので、ある程度景気リスクを回避することが出来るはずです。

従業員一人当たり売上高625万円で経費を7%削減することができれば40万円強が浮きます。従業員70人ほどの行政書士事務所のマネージャーなら、経費削減分だけで年収3000万円に達することが出来るのです。

ハローワークに行ってみよう

行政書士試験に受かったものの、経験がないのでどこかで働いてみたいと思っても、普通のアルバイトや派遣の情報サイトで募集があることは珍しくなっています。しかし、ハローワークで検索すると、時期にもよりますが全国で200から300件ものヒットがあります。

ハローワークに募集がある理由

行政書士がハローワークに募集を出す理由の一番大きいものは無料であることでしょう。有料の求人サイトの場合応募者が多く、選考に時間を取られることを嫌っている部分もあるはずです。雇用に関する補助金を申請する場合、ハローワーク経由であることが条件になっていることがあり、補助金を得るためにHPの募集に応募してもハローワークに行って来てくれと言われることまであるそうです。

行政書士事務所が欲する人物像

ハローワークでキーワードを行政書士にして検索してみると月給15万円~、従業員は女性のみという募集を良く見ます。月給15万円で家族を養えるはずもなく、女性のみのところに男性が入って行くのは難しいので、世帯の稼ぎ主ではない女性を求めていることがわかります。
ハローワークでは性差別だけでなく年齢制限も出来ないのですが、「キャリア形成のため」という文言をつければ年齢制限しても良いことになっています。年齢制限の例外については厚生労働省HPに説明があります(参照URLはこちら)。年齢制限を入れている行政書士事務所もあり、行政書士の資格よりも若い女性を求めていることがわかります。

ハローワークに落ちているヒント

行政書士事務所が求めているのが若い女性なら、熟練を要求しない事務系の仕事が多いことが分かります。つまり、専業主婦の妻や引退した親、大学生の子供や働いていない親戚など時間に余裕のある親族を使えば人件費を節約しながら行政書士として開業することが出来ます
ハローワークの入り口付近には職員が足で探してきた募集コーナーがあることがあります。積極的に募集を出すことはないけれど、要請されれば募集を出す余裕のある企業のリストとも言えます。ハローワークに要請されて募集を出すのですから、法律職との関係も薄いことが多く、営業の成功率も高そうです。
このようにハローワークには生きた情報とヒントが隠されていることがあります。

それでは引退した親が営業のエースだったとして、行政書士の自分はどのように使っていけば良いのでしょうか。次はマネージャーとしての行政書士になる場合のヒントをデータから導いてみたいと思います。

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弁護士に訴えられる行政書士

弁護士法第72条には、
弁護士又は弁護士法人でない者は、報酬を得る目的で訴訟事件、非訟事件及び審査請求、異議申立て、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件その他一般の法律事件に関して鑑定、代理、仲裁若しくは和解その他の法律事務を取り扱い、又はこれらの周旋をすることを業とすることができない。ただし、この法律又は他の法律に別段の定めがある場合は、この限りでない、と定められています。要するに弁護士の仕事に手を突っ込むなということです。

「その他」という文言にあるように、具体的にどれを指すのかはっきりしないところもありますし、ただし書きまでありますので、仕事をしていたら弁護士に訴えられる状況になることさえあります。行政書士が弁護士と競合する仕事をする場合は注意が必要になります。

「明日、夫が逮捕されちゃう!?」

行政書士が弁護士に訴えられるという事件を描いた漫画がシバキヨ著「明日、夫が逮捕されちゃう!?」です。Jコミで無料で読めます(参照URLはこちら)。行政書士の仕事についても描かれています。

行政書士である著者の夫は、不倫の慰謝料を請求をするための内容証明郵便作成を依頼されます。相手方の弁護士が内容証明郵便作成を示談交渉とみなして、弁護士法違反を主張するところからこの物語は始まっています。
相手方が弁護士に相談したのが和解の成立後なので、和解そのものに瑕疵があるとする戦略は仕方ない部分もあるのですが、和解成立前なら行政書士に依頼した人と弁護士が交渉する余地があるため行政書士が弁護士法違反に問われることはなかったと思われます。相手方が相談するタイミングという偶然で訴えられるかどうかの差が出るので、弁護士が相手になる可能性のある仕事はリスクが高いことになります。

行政書士と弁護士の境

東京行政書士会HPにある遺言・相続は基本的に弁護士の仕事で、一定の条件を満たす時だけ行政書士が担当できます。詳しいことは札幌弁護士会のHPに説明があります。

札幌弁護士会のHPに「少なくとも紛争性がある案件については行政書士が法律事務を取り扱うことができないことに争いはありません」と書かれています。しかし東京行政書士会HPにないもので、紛争性があることの多い離婚を主な仕事としている行政書士もいます。

リスクの高い仕事は競争相手が少なく、高い収益も見込めます。しかし、弁護士の増加でさらに厳しくなることが予測されます。行政書士の活路はどこにあるのでしょうか。ヒントになりそうなものを探っていきましょう。

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行政書士ってどんな仕事をする人?

行政書士そのものの仕事以外で収入を上げる方法の前に、行政書士そのものの仕事って何だろうという疑問が沸いてきます。

東京行政書士会のHPを見ると、建設業許可、在留資格・VISA、遺言・相続、運送業・自動車登録、知的財産権・知的資産と5つの項目が一番上に出てきます。遺言・相続は弁護士に頼むもののような気がしますし、知的財産権は弁理士の仕事じゃないの?と思ってしまいます。

数ある仕事の中で多いのは?

日本行政書士連合会では仕事の報酬に関する情報を提供しています。最も回答が多いのが建設業変更届出(事業年度終了)で回答者数は843に上ります。

建設業法第11条第2項を見ると、
許可に係る建設業者は、毎事業年度終了の時における第六条第一項第一号及び第二号に掲げる書類その他国土交通省令で定める書類を、毎事業年度経過後四月以内に、国土交通大臣又は都道府県知事に提出しなければならない、とあります。
この法律に基づいて提出しなければならないのが建設業変更届で、簡単に言えば決算報告書です。

次に多いのが建設業許可申請(法人・更新)知事となっています。建設業許可申請は個人と法人、新規と更新、提出する行政庁によって細分化されていますので、実際は細分化されていない建設業許可申請が最も多いことになります。

建築業許可申請の新規を得るのは大変そうですが、5年ごとの法定更新を扱う更新や決算報告をする変更届出は顧客企業が倒産しない限り定期的な収入として売り上げに貢献してくれます。建設業に関係する各種許可申請も考えれば建設業との取引が中心的な仕事と言えますし、東京行政書士会のHPの一番左上に建設業許可が示されていることでも納得できます。

他の4項目は大変

在留資格関係、自動車関係は一つ一つの仕事への回答数は多くないものの、仕事の種類が多く、条件次第で安定した収入が見込めます。利用者の便を考えれば入国管理局や陸運局の近くで開業しなければならないこと、同業者との競争に勝てることが条件になります。
もっと大変なのが相続関係と知財関係です。他に専門家がいますので、他業種との競争が待っています。
特に弁護士と競合する相続関係は様々な面で苦労することになりますが、それは次のページに譲ります。

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